どうも、まさか二次創作でミステリーを書くことになるとは思っても見なかったあぱぱです。こんにちわ。
この度はリンゼルで真面目にミステリー『姫と騎士の事件簿 傍らの青の一途』を手に取っていただきありがとうございます。
初めて私のリンゼルを手に取られた方に先に断っておきますと、実はこれほど甘いリンゼルを書くことは滅多にありません。逆に私の他の作品傾向をご存知の方には「どうした?!」と驚かれたかと思います。
これについては、二次創作なのにミステリーというイレギュラーなお話だったことが最大の理由です。
さて、今回のお話を書くことになった発端は、いつもTwitterで仲良くしていただいているじもさん( https://twitter.com/shi3_jimo )が
「誰か王室で起こる殺人事件を解決するリンクとゼルダのミステリを書いて…出ないと私が死ぬ…(そして可能ならリンクを冤罪に…)」 ※原文ママ
と瀕死だったところに、私が
「ギャグですか?シリアスですか?」 ※こちらも原文ママ
と、意気揚々とケツをまくって特攻したのが始まりでした。
創作自体を始めて十数年経ちますが、ファンタジーとSFぐらいしか書いた経験がありません。でも創作の幅を広げてみたい&単純に面白そう~!ということで、まさかの初ミステリーに挑戦することになりました。これが昨年の12月のことです。
こうして今年2月から連載を始めたわけですがやはりミステリーは非常に難しく、善戦したつもりですが後悔もそれなりにいっぱいです。でも何とか書き上げられたので今はホッとしています。犯人が解明できて、あ~よかった。
また推理物で、しかも殺人事件という物語の性質上、被害者/加害者を原作登場キャラクターにするわけにはいきません。そのために殺される/殺人を犯すオリジナルキャラクター愛情を込めてまっさらなところから作りだすなどの工夫が必要でした。
そのオリキャラたちに気を取られていたら、リンゼルに振りかける砂糖の分量をどうやら間違えてしまったようです。と言う事情なので、申し訳ありませんが、甘味はそのまま甘美として堪能していただければと思います。
オリジナルキャラクターの作成については正直こっぱずかしい気持ちの方が大きくて、発端のじもさんに「命名して!」と無理難題を吹っ掛けました。
するとあっという間に総勢十名ものオリキャラを、しかもちゃんとハイリア人らしく植物のもじりで名付けていただいてしまったのです! じもさんすごすぎる!!
その延長線上でお借りしたのがじもさんの代表作(?) ハイラル♡ナイト(https://www.pixiv.net/artworks/92667234 )の『先輩』です。Twitterのアンケート機能を使ってやっていたシュミレーションゲームごっこなのですが、なんとリンクの騎士寮で同室の先輩騎士の立場で物語を進めて行っていためちゃくちゃ面白い企画だったんです。
『俺先輩』と呼ばれて皆様に愛されたかの騎士に重要な役どころを抑えてもらい、これは本腰を入れて書くしかないぞ~っと、久々に三人称で12.5万字あまりを書くことになりました。この一年、ずっと一人称で書いてきただけになかなかハードな執筆となり、後から見るとたぶん視点のずれとかもあるんだろうなぁとは思いつつ、まぁまぁがんばったで賞のハンコを自分にポンと押した次第です。
さらにさらに、じもさんがまだまだ私のために働いてくださる(曲解)とのことで、ならば表紙をお願いします!とラブコールして描いていただいたのがpixivの表紙です。
私がぺぺーっと描いたラフからあんな綺麗な温室の風景を描いていただけるなんて、本当に夢かと思いました。私の知る限り、自然物に関してじもさんの右に出る絵描きさんはそういらっしゃらないので(最初風景画のプロかと思ってた時期があった)、そんな方の庭園の絵(しかもピーカン入り!)を表紙に掲げて投稿できることをとても嬉しく思っています。
このお話はじもさん抜きには成立しませんでした。この場を借りてお礼を何度でもお礼を申し上げます。
じもさん、ありがとうございました!
☆以下、加筆修正に関する言い訳
今回はミステリーということもあり、プロットはいつもよりもきっちり詰めておいたので「書き忘れた~!」と叫ぶことあまりありませんでした。
それでも一番大きく修正しなければならなかったのが、5章の『傍らの青の一途』8ページ目におけるリンクの言動です。
プライベッターで公開時には素直にレクソンからの取引を飲んでいたのですが、どう考えても彼が犯人隠蔽の取引を飲むわけがないぞ、とずっと引っかかっていました。自分で書いたくせに解釈不一致で機能不全を起こしていたんですね。
なので大幅にその点だけは改稿し、その場では要求を飲まないで立ち去ろうとして後日ハードルの下がった要求を思わず飲んでしまった、という話の筋に変化しています。
いわゆる『ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック』というやつです。
「今日は残業できない? そうか、私も他の人から押し付けられて辛いんだが……やっぱり半分だけでも仕事を引き受けてもらえないだろうか?」
と一旦高度な要求を断らせてから二度目以降罪悪感がある状態で程度な要求を飲ませる……ってな感じの、心理学を利用したテクニックです。現実にも使われるやつです。
友達が紹介してきた月額一万円の特別ジム会員コースを断ったあと、じゃあ月額三千円の通常ジム会員コースに入らない?って聞いてきたら十中八九それです。ご注意ください。
さしもの退魔の騎士も、貴族同士の初戦では土がついたという感じ。当然、いずれはゼルダが十分にやり返してくれることを妄想の中では期待しておきます。
……ミステリーの次回作のフラグではありませんよ?!
☆以下、トワイライトプリンセスのゲーム内情報なので、ネタバレが気になる方はご注意ください。
今回治水工事の現場として名前が挙がった河川『ルテラー川』は、トワイライトプリンセスに登場する『ルテラ女王』のお名前からとられたものと考えられます。ルテラ女王はトワプリにて、影の軍勢に里を侵略された際に見せしめとして処刑されてしまった当時のゾーラの女王様でした。
トワリンの前に霊の姿で現れて息子を助けて欲しいとお願いしたり、色々あってトワリンにゾーラの服をくれる心優しきゾーラの女王様です。
ちなみに息子さんのお名前は『ラルス王子』。同様にゾーラのある場所の地名になっていますので、ぜひ探してみてください。ヒノックスがグーグー寝ております。
このルテラー川の名前の由来とトワプリでの一連のお話が頭の中で結びついた時、ようやく今回のミステリーの複雑性が増して何とかなった気がしました。ルテラ女王様ありがとう。
なお、トワプリ当時のゾーラ族のお墓はなぜかカカリコ村にあったのですが(いまだにその理由が分からない)、恐らくトワプリのカカリコ村とブレワイのカカリコ村は別物ではないかと思うので、ブレワイのカカリコ村の裏手の墓地とはたぶん関係ないと思っています。
それにルテラ女王はトワリンに息子を助けてもらって成仏してる(ハイラルに仏はいないゾラ)と思うので、やっぱり祟りはあの2人の仕業でした!ということです。
☆タイトルに関するミスリードの件
タイトルの『傍らの青の一途』、そして導入の『青い双眸』、これだけをリンゼルやブレワイが好きな人に提示すると、青い瞳をしているゼルダの傍らの人物=リンクであろうと想像していただけると思うのですね。
実は今回、そこにこそミスリードを仕掛けたいと思っていました。
というのも、こちらもTwitterで遊んでいただいているかのたろさん(https://twitter.com/kanotaro_g )のモーメント『ブレワイ一人称、ハイラルスナップで各地を散策』のスクリーンショットで色々見ていくと、実はハイリア人に限らずハイラルのモブさんたちって案外青い瞳の人が多いことに気が付きました。
【参考文献】
ということは、もしかしてリンクの青い瞳は実はハイリア人としては一般的で、むしろゼルダの緑の瞳の方が稀なのでは?と。
そのため、犯人になりうるオリキャラたちはほぼ全員が青い瞳となっています。もちろん青と言っても色味は様々なので、それぞれに違う表現で『青』を潜り込ませています。もしよければどんな青い瞳なのか、探してもらえたら泣いて喜びます。
……とまぁ、色々言い訳はしておりますが、トリック自体は大したものではないので、取り繕うためにやたらと饒舌なだけです。というか、そんな天才的なトリック思い浮かんだら、一次で書いてどこか賞に投稿しちゃうから!
ちなみに事象を複雑にするため、探偵役のゼルダに対するトリックと、読者に対するトリックをいくつか分散して埋め込んでおきました。
そのうちのゼルダが毒に耐性を付けていたとされる読者向けのトリックですが、実際には牛や馬などに少量ずつ毒を注射して解毒のための血清を作る方法として知られています。また、同様の方法で自分の体で血清を作った人物もいる『ミトリダート法』と呼ばれているので、気になる方は検索してみてください。素人は絶対にやっちゃいけないやつです悪しからず。
本当はシレネに切られるのがリンクの方で、知らずに薬を飲まされて耐性ができていたゼルダが輸血をして事なきを得る……という筋で書こうとしていたのですが、だとすると切られて倒れるのがリンクなんですよね。そのための血液型云々も色々と伏線を張ろうと思っていたのですが……
\以前書いた別のお話と同じパターンは面白くないじゃーん!/
と天邪鬼が囁いてしまったので、今回はぶっ倒れるのはゼルダの方にお願いをいたしました。
昨年のやらかしを踏まえ、最初から「リンゼルはどう転ぼうともハッピーエンド」としつこいぐらいに言い続けていたので、悲鳴なくエンディングまでたどり着くことが出来ました。ありがとうございます。
こうでもしないと「あぱぱさんはすぐに推しを苦しめて、最悪死に至らせてしまう」と思われているようですが、あながち間違っていないのでドヤ顔ダブルピースです。姫巫女を失う瞬間の勇者の苦悶を少しばかり書けたのが大変うれしかったのは内緒。
このように大変性根のひん曲がった物書きではありますが、『殺すためにキャラを作り出すもののあはれ』を味わう稀な経験になりました。
特に主犯だったシレネはとても愛おしく思っていて、彼女のためにテーマ曲を決めているほどでした(だいたい長いお話を書くときはテーマの曲を決めて、毎回同じ曲を聴くことで一定のモードに没入するようにしています)。
とても美しくて純粋で、でもきっと自分の生を恨むほど男に生まれたかっただろうなぁと悼みながら、同時に非常に良い経験を与えてくれた彼女に感謝します。ありがとうシレネ。
ってなことで、あれやこれやはこの辺で。
私の性格を知っている方は、たぶん最後に何かあるでしょうねぇとニヤついておられるかと思います。
あります。
ぶっちゃけ、おまけの準備に手間取っていたとか言えない。
次のページに殺人事件の後日談をこっそり隠しておきました。十数年前に個人サイトさんの隠しリンクを探していたような古いオタクのやり口です。
お時間ある方は、『お互いに相談する』と約束し合った彼ら二人のちょっとした騒動をご賞味ください。
ミンナニハナイショダヨ!