ゲームオーバー - 3/3

 

 二日目ぐらいまではさほど無理はなかった。まぁ抜きたいなぁとは思いつつ、でも何とか我慢が出来た。……何とか。

 でも三日目の朝に半立ちになったものを無意識に触ろうとしている自分の手で、一気に目が冴えた。

「あっぶな……」

 二日我慢しただけでこれか、と天を仰ぐ。我ながら健康すぎやしませんか。

 ベッドは元から一つ、かといってソファーで寝ますと言えば駄目ですと言われ、相変わらずゼルダを半ば抱き枕のようにして寝た。それがやはりよろしくない。

 ふんわりした抱き心地、柔らかな石鹸の香り、軽やかな寝息。どれをとっても今の俺には刺激物以外の何物でもないですよ、姫様。

 仕方がないのでまだ早い時間だったが起きることにした。もやもやとしたもの下っ腹に抱えたまま、顔を洗い、服を着て、頭をガシガシと掻きながら台所に立つ。

 卵にハイラル草とヨロイカボチャを合わせて野菜オムレツを作り、方やゴーゴーニンジンを入れたニンジンシチューの残りを確認。カカリコ村危機一髪みたいな朝ご飯だなと思いながら、少し固くなったパンを切って遠火で温めていると、いつもはゼルダが起きてくる。

 はずなのだが、いかんせん今日は俺が早く起き過ぎた。しょうがない。起きないと俺がダメだったから、起きたまでだ。

 数日前にマンサクがプレゼントと称して押し付けて来たリンゴを数個見繕い、切り分けてからきび砂糖と一緒に鍋でくったりするまで煮る。ここまでやっておけば後でアップルパイを作るのが楽だから。ところがそこまで準備してもゼルダが起きるには早すぎる時間で、結局パイを焼き始めてからようやく起きて来た。危うく朝ご飯にプリンが付くところだった。

「リンク、その、大丈夫ですか」

「何がですか」

 できるだけいつも通りに答えたつもりだったのだが、やはり無理があるようで声が少し裏返った。それに気が付いたゼルダが不安そうにこちらを覗き込む。貴女の元近衛騎士が無様でスイマセンと心の中で謝りつつ、スーッと視線を反対側に向けた。

「大丈夫もなにも、こうしないとゼルダが」

「そうなんですけど、でもリンクの体に負担がかかったらと思うと」

「俺の方が体は強いですから、そこは気にしないでください」

 これは己との戦いだ。大丈夫、精神的な戦いともなれば、百年前から実績がある。しかも先の見えない戦いではなく、ゴールテープは二日後に設定済み。頑張れない距離ではない。

 気が重たいままに、体調を崩してから行ってなかった研究所へ行くゼルダについていった。荷物とお弁当を持って、扉を開けると上機嫌の幼女がチェッキーする。ほんと、この人のおかげで散々な目に合うよな。

「姫様、体調はどう?」

「もう大丈夫です、お騒がせしました」

「リンク、あんたの方は」

「……なんとか」

 プルアさんは「ふぅん?」と変な顔をしていて、その奥で元凶のシモンさんが眼鏡を直しながら首を傾げていた。思わずその逆光眼鏡を睨みつける。

 シモンさんがあんな変な本をお宝にしていなければ、俺が今こんな悶々とすることなんかなかったのに。あんたどういう趣味だよ、流石にアレはないだろ。

 視線で訴えたのだが、ただぎょっとされて終わった。通じなかったらしいということは、もしかしてシモンさんお宝本取られたことに気が付いていないな。どれだけ在庫持ってるんだよ、どこで買うのか教えて欲しい。

「まぁ姫様、無理のないようにネ」

 姫様じゃなくって頑張ってるのは俺の方ですと言いたかったが、そんなことを言ったらまた正座させられそうだったのでそのまま帰った。

 その日は丁度シモツケさんの手伝いで体を動かしていたので、昼間は特に気にせずに済む。忘れられる時間がありがたい。でも時々思い出しては「はぁ」とため息を吐くとたいそう珍しがられた。

 夕方になってゼルダを迎えに行く時間になると、むずむずと腰のあたりから気配が一層強く忍び寄る。あと二日、頑張れあと二日。でも無心になろうとするほど、下心に火が付く。

「リンク、ちょっとくすぐったいです」

「え、あ……」

 村へと坂を下る道すがら、緩く繋いだゼルダの手を俺は無意識になぞっていた。親指の腹でまろやかな手を弄ぶ。慌てて止めた指が、でもうずうずと動きたがる。

「すいません」

「そんなに我慢ならないものなのですか?」

「……ご想像にお任せします」

 ゼルダはきょとんと目を丸くしていたが、その瞳すら目の毒だと分かってもらえないのがまことに辛い立場です。くつくつと煮える頭を抱えながら寝ようとして、今日こそはとゼルダを抱き枕にしないように背を向けて横になる。

 ところが彼女は何を思ったのか、ころりと転がって俺の横へ来た。すかさず逃げる。すり寄る、逃げる。

「あの」

「本に書いてありました。少しぐらい焦らした方がゴールの快感が高まるそうです」

「もしかして全部実践するおつもりですか」

「だってプルアがするようにと言ったわけですから……」

 そう言って、わざとらしくふわふわの二子山を俺の背中に当て擦る。誰だ、こんな技を教えたの。……俺だ。俺以外に居たら大問題だ、マスターソードがそいつの血を吸う羽目になる。

 ああもう、どうしてこんな、こんな。こんな!

 固く熱を持ち始める自分に落ち着け、ホウホウと馬でもなだめるがごとく言い聞かせる。ゼルダが寝たのを確認してようやくベッドの奥の方へ体をずらし、ようやく端と端とで別々に寝るようにした。

「おはようございますリンク」

「……はい、おはようございます」

 気持ちいい朝日と小鳥のさえずりと、なんでまた俺はゼルダを抱きかかえているんですかね。

 もちろん朝から俺は元気でした。残念なことに非常に元気過ぎて困るぐらいに元気でした。無意識の産物って怖い。

 これ以上くっついていると危ういと思って寒い布団の外へ出る。もよおしたのでそのままトイレに行って生理現象を出して、振り捌いたところで気が付く。竿の先から糸が引いていた。

「我慢汁じゃん……」

 思わずトイレの壁に頭を打ち付け、「大丈夫ですか?!」と慌てたゼルダの声にこっちが慌てた。中で昏倒していると思われた危ない。

 あの姫様は最悪、扉をこじ開けてでも生死確認をする可能性がある。出ますから、どうか見ないでください。

「大丈夫です……」

「本当に?」

「俺にも色々ありまして」

 昨日と同じでサッと準備した朝ご飯を食べて、悶々とした頭を抱えてゼルダを研究所へ送る。今日は何をする予定も無かったので、そのまま弓を担いで山へ分け入った。

 体を動かしている間だけは気が紛れる。そういえばハイラル中を巡っていた時、さほど気にならなかったのはずっと体を動かしていたせいか、と気が付いた。

 呼吸を整えて、木立の間から獲物を狙う。雌のヤマシカが見えた。冬に向けた貯えとして燻製を作っておきたいし、革は売りに行ってもいい。

 ところが雌鹿に近づく立派な雄鹿がいた。大きな角を振りかぶりながら歩いて、こちらに気が付いた様子はない。角を売れる分だけ雄鹿の方が良いかと番えた弓の切っ先を変えようとした瞬間、雄鹿が雌鹿の後ろに乗り掛かった。

 何のことか、瞬時に理解して番えた弓を取り落とす。

「鹿まで俺に揺さぶりをかけてくるの?!」

 これが女神の悪戯だとしたら、女神は相当に腹黒い方だと思う。ヤマシカにまで馬鹿にされた気分になって、背を向けたところで丁度目があったモリイノシシを代わりに狩ることにした。ベーコンにしてやる。

 そんな調子でまったく気分が晴れないまま夕方ゼルダを迎えに行って、ご飯を食べてベッドでまたふんわりするモノを当て擦られ。

「もう我慢しない方がいいんじゃないかと思うようになってきました」

「だ、駄目ですよリンク!」

「だめですか?」

「駄目です、いけません」

 悲しいかな、こういう時素直に言いつけを守るのは、主従の縛りがまだ完全には解けていない証拠なのだと思う。反面、そうやって自分を追い詰めることに快感を覚える体質なのではないかと勘繰りさえする。

 それってちょっとヤバイんじゃないのかな。

 女王様みたいなゼルダにいじわるされる想像をほんのりとしてみた。案外悪くなさそうだと思ってから、相当キてるなと罪悪感に襲われる。ペナルティに鞭を打つだとか、蝋燭の蝋を垂らすだとか、そんなものもあったけどアレって一部の人にとっては罰じゃないよね。ご褒美だよね?

 そんなことを考えながら珍しく浅い眠りを繰り返し目覚めた五日目の朝。もうダメもダメ、全然ダメだった。板でも入れようかと思った。

 猛る愚息をどうにかなだめ、ゼルダを送り、シーカーストーンでラネール山頂のジター・サミの祠へ飛ぶ。寒けりゃ何とかなるだろうという安直な発想は案外、功を奏した。

 寒いと誰でも縮こまるもんだよね。最初っからこうすればよかったんじゃんと思って、八つ当たりがてら周囲の雹吐きリザルフォスの尻尾を削ぎ取りまくり、夕方あたりにネルドラにも喧嘩を吹っかけて鱗を貰う。

 そのままゼルダを迎えに研究所へ行ったら「どうしてリトの服を一式?」と首を傾げられた。

「すいませんリンク、ちょっとヴェント・エストに寄って行ってもいいですか」

 研究所からの帰り道、またさわさわと柔らかな手をいじっていると、ゼルダに顔を覗き込まれる。

「構いませんが、何か買うんですか?」

「いえ、少し分けて頂きたいものがあるんです」

 何とは言わず、ヴェント・エストに入って行ってソフォラさんと話をしていた。俺は特に用事もないので店先は邪魔になるかと思って外に居た。服を買うわけでもなく、何だろうかと様子を伺うと、何かを貰っていた。

 でもそれ自体さほど気になることも無い。何しろ今夜でお預けはおしまい。ゴールだ、よかった今日で無事に我慢が終わる。心の底から晴れやかな気分。

 もうこんなことは金輪際やりたくない。あのいかがわしい本は明日にでもプルアさんに突っ返しに行こう。シモンさんは自分でやるといい。

「お待たせしました」

 はい、と満面の笑みで頷いて手を繋いで帰る。彼女がその手に何を持っているのかなど、俺は気にもしなかった。帰りついてから上機嫌で晩ご飯のチキンピラフを食べて、水浴びもして全身ちゃんと身綺麗にする。

 だから、ソフォラさんに分けてもらったというソレをベッドの上で取り出された時、例え話ではなく冷や汗が出た。細い革紐だった。

「これで付け根を縛ります」

「付け根? え、あの、恐れながら、何の付け根かお伺いしても?」

「リンクの、リンクをです」

 仮にも姫様に何を言わせたんだとは思いつつ、信じられない言葉に耳を疑う。

 もう我慢できない、早くさせてとゼルダにむしゃぶりついた途端、駄目ですと固い制止の言葉で肩を押し返された。そうしてまで俺に差し出した革紐。

 その革紐で、俺の俺を縛るんですか、しかも付け根で? 姫様それは一体どういうご趣味で?

「わざわざ革紐を貰いにソフォラさんのところへ?」

「はい、本によると、本来はそれ用の器具があるようなのですが、今回は頂いた革紐で代用したいと思います。付け根を縛ることにより、勃起の持続時間が長くなって快感が上昇し、満足度が上がるそうですよ」

 今姫様、普通に勃起っておっしゃいましたか。思わず百年前の俺が顔を出しそうになってむぐっと口をつぐむ。名前を呼ぶようにと約束させられたのはだいぶ前のこと、慣れたと思っていても口を突いてついつい呼びそうになる。

「じぞく、じかん……ガンバリダケじゃだめなのか」

「と言っても私にはリンク以外に比較対照がいるわけではないので、リンクの体感によるものでしかありませんけれど」

「そんな奴がいたら今から血祭りにあげにいくところです」

「物騒なこと言わないでください!」

 まぁ確かに確かに。一回の精度を上げるなんて話はしていた。でも縛るなんてどれだけ無体なことをする方だ、やっぱり姫様は女王様の素質がある方だったのだろうか。

 ふざけた考えはほどほどに、ただ流石にやめてくださいと言いたかったのだが、非常にまじめな顔をしているゼルダを止めることはできなかった。そうですよね、元をただせば俺のせいですから。俺のせいで何度も体調崩すのはよろしくないですよね。

 もうここまで来たらどれだけ我慢しても同じ、ゴールは目の前だからと俺はそそり立つそれの付け根を縛られる。違和感しかないし、ドクドクと自分の鼓動がうるさく感じた。

「どうですか?」

「これはなんとも……」

「大丈夫です……?」

「うーん……」

 ぴったりと食い込む革紐のせいで、これではイきたくてもいけない。しかも血流が戻らないので、立ち上がった俺の息子は一層赤黒く鬱血していく。本当にコレ大丈夫なのか。おーい息子、大丈夫か、息してる?

 この瀕死の息子を救うのはたった一つ、たった一つの単純な方法だ。

「ゼルダ、もういい?」

 いいですよとの言葉を待たずに、我慢したご褒美にかじりついた。

 五日ぶりに吸い付いたゼルダはどこもかしこも柔らかくて甘い。薄い夜着の上からたわわな果実を揉みしだき、いきなり口の中を大きく舌を割り入れて味わう。じゅるじゅると音を立てて耳を食めば、よがり声を上げるので口に指を突っ込んで舐めてもらいながら舌を指で撫でた。

「ゼルダ、かわいい、ゼルダ」

「んや、ぁッ……だぁ、めっりんく、やぁァ……」

「やだ、もう待てない」

 指を這わせれば下ばえの隙間からとろとろの蜜が溢れて、撫でみたらすぐに手がぐっしょりと濡れた。五日間、多分俺の方が我慢したつもりで、実はゼルダもそれなりに我慢していたんだと思うと嬉しくなる。

 上から下から全部堪能して、満を持して入れさせてと思ったところで、でもやっぱり結ばれた違和感だけは取り払えない。

「やっぱりコレ、解いていいですか。少し痛くて」

 食い込むほどに膨れた俺自身、指さして大きく息を吐き出した。持続時間どうのよりも、そもそも痛みがあって嫌な感じがする。引きちぎりたい衝動すらある。

 とろんとした気配のゼルダが「そうですね」と言うや否や、俺は食い込んだ革紐の端を引っ張った。ところがぎゅっと逆に結び目がきつく締まる。あ、と思ったときには遅く、あまり繊細ではない俺の指先では解くに解けない。

「ちょっと待ってください、私がほどきます」

 不穏を察したゼルダの細くて白い指が、強張りの付け根に伸びた。待って、と制止の言葉は聞き入れられない。分かってはいたけれど、それはビリビリとした感覚となって全身を震わせた。

「んあぁ……ゼルダ、はや……くぅあぁ……」

「きつく結ばってしまったみたい……」

 指が絡む。触れる、それが気持ちいいのに、縛られているから出られない。

 だめ、出たい、ゼルダの指が俺を持ち上げて、付け根から揺さぶり、革ひもの先が玉袋の裏を擦る。

「はふぁ……、だめ、ぁもう……んんぇで、ちゃうぁ……」

「ああもう、動かないでリンク」

 じれったくてゆすゆすと腰を動かすとぺちんと膝を叩かれた。そんなこと言ったって、この衝動どう殺せばいいのか分からない。

 俺だってまだ入れてないのに、まだちゃんとやってないのに、出したくない。

 このままゼルダの中に入ってしまおうかとも思ったけれど、そんなことをしたら絶対に捥げるほど痛くなりそう。そう、だから耐えて待つしかない。

 その間もゼルダの細い指先が俺を触る。解くんだから触るのは当たり前なのに、でもその指先が酷い刺激となって脊髄を揺さぶる。相当にギリギリ、頭が沸騰しそうになる。

 あぁ、でも確かにプルアさんの言う通り、我慢しただけあって気持ちいいんだろうなとは思った。我慢がこんなに気持ちいいとは思わなかったけど、もう二度とやりたくない。早くゼルダの中に入りたい。つぷつぷと先端から溢れ出る。

 だめ、腹筋がんばれ、我慢しろ、ゴールはもう少しだから。

 頭の中がぐっちゃぐちゃになっていたその時。

「ほどけました!」

 ふっと軽くなって血のめぐりが戻って来た瞬間、目の前が真っ白になった。

「ンッあぁッぁあ……」

「リンク?!」

 ゼルダに縋りついて喉の奥で吼え声を噛み殺し、びくびくと何度か痙攣を繰り返す。同時に訪れるものすごい解放感。花畑が見えるかと思った。

 座ったまま肩で息をして、気が付けばたっぷりと濡れる鈴口。

 革紐をほどいたゼルダの手に白い自分の出したものが絡まって、滴ることもなく淫靡に光る。ため込んでいただけあって濃い、ぬったりとしたそれは俺の欲そのものだ。ゼルダの綺麗な手が汚れてしまっていた。

「すいま、せん……御手を、汚して、しまいました……」

 謝りつつ、達成感と敗北感との双方で頭がぼうっとする。空気が足らない。ばくばくと心臓が鳴る。

 もちろん外に出そうと思って、ゼルダの柔らかなお腹の上に出したことはある。でもあれはちゃんと余裕をもって断りを入れてのことだったし、それとこれとは別問題。

 ちゃんとゼルダと一緒にイきたかった。なんで手だけで出ちゃったんだろ。でもすごく気持ちよかった。我慢すると気持ちいいって本当だった。どうしよう癖になりそう。

 ああ、でもこの後立つかなと頭の片隅で心配をしてから、ゼルダの手に絡まる自分の白いアレを見て、性懲りもなくゾクリと背筋を伸ばす。

 大丈夫だ俺、問題なく立つ。しょうもな。

 でもベッドの上、とろとろの手で革紐を持ったまま、ゼルダは固まっていた。

「リンク……」

「えっと、その」

 心なしか声が冷たい。ゴメンナサイ、でも本当に我慢ならなかったんです。

 これは土下座コースだろうか。さすがに近衛の時代にも、あるいは回生してからもしたことがない、土下座。

 正座をして頭を下げようとしたのだが、ゼルダは怒った瞳が下からねじ込むように睨んでくる。

「失敗ですリンク」

「……………………………………はい?」

 失敗って、五日間ちゃんと我慢したじゃないですか。確かに出ちゃったけど、でも我慢はした。俺すっごくがんばった!

 それに革紐がほどけなかったのは事故じゃありませんか!!

 でも百年前から変わらないゼルダの、姫様の姫様たる律儀で真面目な性格を俺は見誤っていた。

「残念ですが、ペナルティですね……」

 

拝啓プルアさんへ。

姫様が延長戦を決めたので、本を返しに行くのが遅れます。勇者より。

 

 

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