不可知の獣 - 9/14

6*触覚・悪女の祈り

「彼のことが好きなのね」

 長い金の髪がゆるやかに舞う。私の隣にいるのがお母様だと分かり、これがまた夢で、あの時の続きだと理解した。また明晰夢だ。

 でも夢は良い。嘘偽りなく答えることができるから、心に優しい。

「はい、大好きです」

「良かったわね」

「良かったのでしょうか」

「ええ、良いことですよゼルダ」

 そうか、私は恋をしても良かったんだ。肩から力の抜けた。

 日を追うごとに苦しくなってくる胸のうちを、誰に明かすこともできない。かといってリンクと離れるわけにはいかず、でも彼の傍にいると嬉しいのに苦しい。

 誰にも明かせない気持ちに嘘を吐き続けるのはとても辛かった。だから例え夢であっても本当のことを認められて、こんなにも嬉しい。

「私には過ぎた人ですし、それに力が訪わない限りは誰にも秘密です」

 ウルボザにはもうバレてしまっているけれど、でもお母様とウルボザはお友達だったから特別ということにしておく。

「大丈夫、貴女はいつだって前向きだもの。いつかその日が来るわ」

 場面は以前と同じでお母様の生前の居室、窓のそば。お母様の膝にはあの時と同じでユニコーンが穏やかにうたた寝をしていた。居心地の良い空気があって、窓の外にはまた彼の姿がある。今度はハイリアの服を着て、どこか山野を歩き回っている様子だった。少し厳しい顔をしていたけれど、でも現実で見る険しい顔ではない。生き生きとしていた。

「あれから、貴女はもう何度も彼に導かれたわね」

「りんごの味以外にもですか?」

 意識をそこまで凝らしたことはなかった。それにここのところしばらくは、ユニコーンのことも五感のことも忘れていた。

 するとお母様はふっと微笑む。

「りんごは美味しかったでしょう?」

「ええ、とても甘かったです」

「彼の鼓動は?」

「速くて力強くて、でも私の鼓動も速くなってしまって」

「口元に寄せた匂いは?」

「……どうしようもなく落ち着きました」

「一緒に見た月虹は?」

「ちゃんと七色に見えました、とても美しい光景でした」

「そう。そうやって貴女は彼と一緒に悦びを見つけて来た。でも全てその身から切り離して、頑張りましたね」

 これは夢だから。お母様は私が経験したことを全て知っている。

 りんごの甘味は最初に夢を見た時にお母様の触れた指が吸い取っていった。リンクの鼓動を聞いたあと、もう一度その鼓動を聞く距離に入り込もうと思ったことはない。惑わせる香りは禊で全て流し消した。美しい月虹は、雲間に消えていった幻想だ。

 私は瞬間ごとに悦びを知り、それを確かに手放してきた。本当ならばもう一度味わいたいが、でもそれが自分の傲慢だと分かっているから二度目は望まない。望んでしまえば、それは恋心に負けることを意味していた。

 お母様の言う通り努力しているつもりで、でも少し不安になって見返す。顔のぼんやりした人影は再び私の手を取った。

「彼を通して悦びを一つずつ見つけているの。貴女が閉じ込めていた感覚が、一つずつ啓かれていく」

「はい……」

「世界は悦びで溢れている。でも祈りの境地は、全ての悦びを知ったさらに先にある。だから、得た悦びは己が身から切り取って女神に捧げなければ」

 第六の感覚。

 お母様もおばあ様も感じられていた、五感の先にある何か。私の知らない世界。まだ見ぬいずこか、対であるリンクはすでに達しているどこか。

 そこへ至る階は、あと一段。

「もう分かっているでしょう。貴女がまだ得ていない感覚は?」

 私の手を握るお母様の手に力が入る。振りほどこうとしても動かない、痛いほど握りしめられた。膝の上で寝ていたユニコーンの姿は薄くなって消えていく。

 これはつまりお母様ではない、別の誰か。

 そう頭の中で判断すると、見る見るうちに人影の目鼻立ちがくっきりしていった。青だと思った瞳は緑色にくすみ、ずるずると年若くなっていく。それは次第に見たような顔になっていく。

 誰でもない、いつも己と共にある――醜い私。

「最後の感覚は、触覚……」

「そう、つまり触れること。触れることで悦びを得て、それを女神に捧げなさい。彼にどうやって導いてもらうのか、賢い貴女なら分かるわね?」

 口を歪めて笑う悪女がいた。その笑みが己のものと瓜二つと知って叫び、自分の声で目が覚めた。

 胸のあたりをかき寄せて息を整えるのだが、あまりにも鮮明な夢で、何一つ忘れることができない。

「あとひとつは、触れること?」

 触覚とはつまり触れること。触れることで得られる悦びとは一体何か、考えるよりも先に寝台から飛び降りて書棚に走った。大事にしまっておいたあの本を引き出す。小さい頃、お母様と一緒に読んだあの絵物語。

「夢に見るほど、一体何をっ」

 振上げ、叩き捨てようとして、でも出来ずにそのままの体勢で止まった。

 分かっている、あれは全て夢で、原因は妄想に逃げる私の心の弱さだ。だいたいから、どうやって五感を切り離せというのだ、まったくもって現実的ではない。

 祈りが唯一、力に目覚める方法だとお母様もおばあ様もおっしゃっていた。

 それなのに信じ切れず、あまつさえこんなふしだらな夢を見る。愚かにもほどがある。それでも鮮烈すぎる自分の歪んだ笑みが頭を離れず、『触れる事』への欲求が腹の底から沸き立った。

「止めて、もうやめて……!」

 どれだけ努力してもユニコーンは棄てられず、かといって正規の方法でも埒が明かない。駆けつける侍女の気配を察して居住まいを正すと、息一つ吐き出して本を書棚に戻した。

 そんな陰鬱な気分を抱えたまま、その日に向かった先は時の神殿の門前宿場町だった。ガーディアンの起動実験を見学していたところを御父様に見咎められてから、泉の修行以外に各地の神殿にも再度詣でるようにと命が下った。まずは訪れやすいところからと、時の神殿へ向かうように日程が調整され、今日は一日馬車に詰め込まれている。身の回りの世話をする侍女を二人、後はほんのわずかな護衛とリンクだけを連れていく。

 身なりは平民の振りをして、窓辺にもたれかかって外を眺めていた。

 幸いなことに今日は、護衛に着いた兵士と肩を並べるようにしてリンクも馬上の人であった。私が身分を隠していくのに合わせて、英傑の青い服でもない。

 それでも間近で顔を合わせる時間が極端に少ないのが助かった。夢見が恐ろしく悪かったうえに、内容が内容で、彼がそれを一切関知していないのだとしても気まずかった。

 夕刻あたりに門前の宿場町に着くと、貸し切った宿の一室に私は閉じこもった。侍女には最低限の支度だけさせるだけ。

 きっと事情を知らない兵士たちは、私が父王に言いつけられたことが気に食わないだけだろうなどと言っているに違いない。でもリンクだけが、そうではないことを察している。それもあって、理由を問われたくなくて、顔を合わせないようにした。

 部屋で食事をとり、明日からの修行に備えて早い時間から休んでしまおうかと思った。でもなんとなく気分が落ち着かなくて、侍女には少し外を歩いてくると言って、するりと部屋を抜け出す。

 幸い、時の神殿の門前というだけあって、このあたりは魔物も少ない。それにたいていの者は厳かな気分になるのか治安も良い方だ。身分を隠しているので、護衛を連れて静かな空気を壊しながら散策するのも気が引けた。

 むしろその厳粛な空気をぶち壊すような熱にうなされているのは私自身なのだし。

 夢は夢。そう言い切って差し支えない。でも脳裏にこびり付いた自分の見苦しいまでの欲望が離れない。

「どうしてあんな夢なんか……」

 夜風に悩みを溶かして捨てられたらいいのにと、しばらく街の中をうろうろとしていた。

 静かな祈りの場を求めて、ハイラル中からこの宿場町には人が集まる。だが、以前来た時よりも少し様子が違った。喧騒が多いというか、乱暴な雰囲気の人が多い。耳を澄ましていると、酒が入ってどやしながら笑う下卑た声がそこかしこから聞こえた。

 どうしたのかしらと首をかしげていると、私と同じ祈りを求めて来たらしい人に肩を叩かれる。

「お嬢さん、悪いことは言わないから早く宿にお帰りなさい」

「どうしてこんなに物騒な雰囲気になっているんですか?」

 するとその人は声をひそめる。

「厄災復活が近いって噂が立って時の神殿に詣でる人も増えたが、皮肉なことに魔物も増えていてね。おかげで詣でるためには護衛が必要なんだが、その護衛というのが質が悪くて。以前は静かだった門前宿場が今や門前酒場だよ」

 これもか。

 これも私が原因かと思うと、落胆が胃の腑あたりにずしりと食い込んだ。どこへ行っても厄災復活の予兆で人々の生活が変化し、それを抑えられない姫巫女への風当たりが強くなっていく。身分を隠した理由はこれだったのかと得心がいった。

 旅の人にお礼を言ってもう宿へ戻ろうと決めた。散歩をしても気分が晴れないのでは意味がない。なるべく人の多い明るい場所を通って帰ろうと思った。

 その耳に、女性の叫び声が聞こえた。

 嫌とか止めてとか、切羽詰まった声がどこからか聞こえる。夜だから人通りが多いわけではないが、私の周りの人達も聞こえているはず。それなのに誰も助けに行く気配がない。でもこれは、明らかに誰か女性が襲われている声。

 思わず声の元を探す。目の前の一人を助けて溜飲を下げようと思ったわけではないと言えば嘘だが、本当に見捨てられなかった。

 声のする方、路地裏のあたりに駆け込むと、どこかの宿の娘が数人の男に囲まれていた。

「おやめなさい!」

 震える私の声に振り向いた男たちは赤ら顔をしていて、酒が狂わせたらしいことは分かった。

「その方を離しなさい!」

「んじゃあお嬢さんが俺たちの相手をしてくれるのかい?」

 見上げるほど大きい図体、上から酒臭い息が吹き下ろす。ここで引き下がってはならない。一人の女性を救えなくして、ハイラルを救うことなどできるはずがない。我が身を挺してでも民を守るべき姫巫女なのだから、ここで引き下がってはならぬと拳に力を込めた。

「いいえ、あなたがたは宿に帰ることです。その方を離しなさい」

 でも私は非力だった。

 大きな手が伸びてきて手首を掴まれると、あっという間に壁際に押しやられた。それから四方八方から手が伸びてきて体をまさぐる。

「や、やめ、やめなさい! 無礼者!」

「やめてっていうのは、いいって意味なんだぜ?」

 男の下卑た笑いが目の前にあって、大きな舌がべろりと頬を這った。

「いやああっ」

 自分でも随分と大きな声が出せたものだとびっくりした。

 おかげで彼はすぐさま私を見つけた。

「姫様ッ」

 細い路地裏を声が切り裂く。

 瞳の奥に轟々と燃える怒りを灯して、彼は辺りの男たち殴り飛ばした。体格の違いなどものともしない。子供でも相手にするかのように、次々と大男たちを投げ飛ばしていく。剣を抜くまでもない、あまりにも一方的な戦いだった。

 全員のされるか、逃げ去って、私はようやく目から涙が零れていることに気付いた。

「お怪我は、大丈夫ですか!」

 いつかのカラカラバザールでイーガ団に襲撃された時のことを思い出す。あれは命の危機を感じた。でも今日のは違う。命が脅かされるのではなく、何かもっと別の大事なものが奪われる予感がして、思わずリンクに縋りついた。

「怖かった……」

「おひとりで出歩かないで下さいと、あれほど言ったのに」

「ごめんなさい……、ごめんなさい」

 呆然自失のまま抱き上げられて、宿に連れ帰られた。慌てた侍女に体を検められたが、もちろん乱暴された形跡はほぼない。ほっとしたのもつかの間、ともかく身を清めたいから湯を準備してくれと頼んだ。

 捕まれた場所、まさぐられた場所、舐められた場所から嫌なものが入り込んでくるような恐怖に苛まれる。気持ち悪い、ただひたすらに気持ちが悪い。

 これほど体が気持ち悪いと思ったことはない。フィローネ樹海で転んで泥の中に落ちたほうがよほどまし。生理的な気持ち悪さが全身を這いずり回る。

 隅々まで体を清め、服を替えても、まだ落ち着かなかった。質素な夜着に袖を通し、後は寝るだけだというのに、ぞわぞわとして寝られない。寝ずの番をしているリンクが扉の向こうにいる、その気配だけで目が冴えてしまう。

「今夜は一人にしてもらえませんか」

「いたしかねます」

 そっと開いた扉の隙間から伺ったが、さすがに先ほどのこともあって、声は頑なだった。テコでも動くまい。

 でも「これは絶好の機会でしょう」と夢の中の醜悪な私が囁いた。

「先ほどの悪漢たちに触られた場所を、手で触れてはくれませんか」

 右手を差し出す。そこは最初に捕まれた場所だった。跡が残るかと思うぐらいに捕まれて、引きずり倒された。

 その腕を今度はリンクが優しく包み込む。

「どう触ればよろしいのですか」

「手で触れてくれるだけで構いません」

 声を気にしているので、もう少し扉を開いてこちら側に招き入れた。彼の手から指ぬきグローブを外させる。固くて優しい手が顕わになった。

「手当というのは、傷を触れることで癒すことから始まっていると言われています。だから、手当だと思って触れてください」

 よくもまぁ、ぬけぬけと滑る口。随分と都合の良い知識が、こんな時ばかりぽんぽんと出てくる。

 だが自分でいうのもなんだが、リンクの手が触れている私の右の手首は落ち着きが戻ってきていた。気持ち悪さの上に、穏やか感情が上書きされていく。

「これでよろしいのですか」

「はい。そしたら、こちらもお願いします」

 左の二の腕を。

「ここも」

右の肩を。

「ここもお願いします」

 額から流れるように髪の毛を。

 背中、首筋、太もも、わき腹。薄い夜着の上から次々と触れる場所を指定して、体の中心に彼の手を導いていく。そのたびにリンクの表情に迷い、あるいは焦りが膨らんでいく。

「あと頬を舐められたんです。ここが気持ち悪いです」

 右の頬を突き出すと、渋々といったように温かな手の平が頬を包んだ。それはとても心地よい感覚で、ゆっくり往復する親指の腹が私の頬の張りを弄ぶ。思わず目を細めて、しばらく彼の戸惑う顔をうっとりと眺めていた。

でも、と唾を飲む。

「違います」

「でも、どうすれば」

「気持ちが悪いのですリンク、これでは寝られません」

 半ば脅しだ。これ以上どうしたらいいのか言わないし、彼の必死の抵抗を聞く気もない。

 触れよと命じれば彼はそれが役目だからとしてくれる。でもさらにその先に進む一歩を、私からは決して踏み出さずに待つ。

 触れる、その階を一つ這いあがるために、私は彼の想いを踏み台にする。

 なるほど。こうしてか弱い乙女は、強い狩人を従えるのだ。唐突に理解した。だから乙女は狩人にユニコーンを狩らせる。乙女が餌なのではなく、狩人が乙女の道具なのだ。

「……失礼します」

 切羽詰まった声に一つ頷くと、ふっと息がかかって一瞬だけ唇が頬に触れた。ひりひりと痛いほどの衝撃が体を突き抜けてゆく。これが触れると言うことの悦びかと、夢の私を睨みつけた。

 でも悪辣な私はそれでは満足してくれなかった。

「リンク、ここにも触れてください」

 自分の唇を指さす。

「そこも触れられたのですか」

 答えられなかった。嘘はつけない。でも違うと言ったら彼は身を引いて逃げて行ってしまう。

 だから酷いと分かっていて無言で瞳を覗きこみ続けた。

「本当に、よいのですか」

「お願いします」

 たっぷりとためらってから、でも熱が押し当てられた。

 体の芯が疼く感覚、これが本当の意味での触ることかと歓喜が体を満たす。

 ついばむように、確かめるように、何度も何度も口づけが落ちてくる。応じるように私の方からも押し当てると、角度を変えてまた唇を食む。少しかさついた唇を舐めてみると、お返しのように私の唇に舌がおずおずと這う。

 そのうちに忠義が測っていた距離が無くなり、離していた体が近寄り、腰のあたりに手が伸びて、気づけば互いの息が溶け合う。どちらからともなく舌をつつき合うと、痺れるような甘い感覚が心までも満たしていく。

 そのうちに薄く唇を開けた隙間に彼の欲望が大きく割り込んだ。張り合って私の方からも舌を差し入れると、包むように味わわれる。荒げる吐息を飲み込んで、送り込まれる唾液に打ち震え、青い瞳が憂いを帯びて蕩けるのを愛おしく見守る。ただ触れるだけなのに、こんな表情をするのはきっと私の前だけ。その理由も分かっていて見て見ぬふりをし続ける。

「リン、ク」

 首に手を回して呼んでも答えはなかったが、瞳は雄弁に語っていた。気持ちいいのは私だけじゃないみたいだ。とろとろと唾液が喉を伝う。気持ち悪いはずのその感覚さえ、心地良い刺激になって脊髄のあたりを駆け抜けていった。

 口付けってこんなに気持ちの良いことだったのね、知らなかった。

 でも溺れてしまいそうで、絶え絶えになった息をどうにか継ぐ。やはり恋は溺れるか、落ちるものだ。だからこれ以上は、どうにか踏み止まらなければならない。

 もちろん触れる以上を許した覚えはなく、リンクも分かっていて口付けよりも先へは踏み込んで来ない。それに口付けだけでこれほどの悦びが得られるなんて、この先には何があるのかいっそ恐怖すらある。引き返す道を探したいのに、上手く考えがまとまらない。

 でも、それは唐突に終わった。

 宿場の近くで狼の遠吠えがあって、お互いにはっと我に返った。一瞬のうちに体の距離がとても遠くになり、冷え冷えとした夜の空気が横たわる。

「申しわけ、ありません……」

「お願いしたのは私ですから問題ありません」

 伏せた顔がどんなものだったのか、私は見ないようにした。

「ありがとうございます、落ち着きました。もう下がって結構です」

 彼が寝ずの番に戻るのを音で確かめ、火照る体を両腕で抱いて寝台に飛び込んだ。昏い悦びで体が満たされていく。落ち着いたなんて大嘘。

 鮮烈な感覚を知ってしまった体は、もう引き返せない。でもそれは自分の欲望であると同時に、五感のその先を知る術でもあった。

 リンクの想いを知っていて、感覚のその先にある扉を開けるために踏み台にする。才無き乙女である私が力を得るには、優秀な狩人を利用するより他に方法はない。それに夢でもそう告げられたではないかと自分に言い聞かせる。

 ならば私は、恋に溺れる乙女ではなく、恋を踏みしだく悪女になろう。薄い笑いを浮かべ、月明かりに祈りを捧げた