女傑の恋
🕒️2025年9月12日
気乗りしないのはそっちも同じなのね、と私は自分の隣に座る男を横目に睨んだ。彼は座についてからずっと、ため息を吐きながら首を傾げている。 名をラウルという。 今日いまから、私の夫になる人だ。「……ふぅむ」 なにが「ふぅむ」よ。 そりゃ十三の小娘なんて神の末裔様にとっては赤子も同然かもしれないけれど、これでも一応私は台地の巫女なのよ! 嬉しそうにしろとは言わないが、もう少し取り繕うことはできないのかしら。 苛立ちを丁寧に隠して、私は笑顔を崩さぬまま彼の袖をついついと引っ張った。「ラウル様」「あ、...