〇月〇日
リンクがわずかな時間だったが正気に戻った!
意を決して手首を切って口に血を含ませた甲斐があった。
どうやら食事に混ぜていた血液の味をしめていたのか、口輪を外すとすぐに私の手首に吸い付いて血を舐め始めた。だいぶ舐められて意識が遠ざかったころ、声があった。
リンクの、人の声だった。
嬉しかった。
ようやく聞こえた彼の声。
でもそれは悲痛なお願いだった。
「お願いだからもう来ないで下さい」「口輪を絶対外さないで下さい」と血まみれの口が懇願する。でもそれが嬉しい。
残念ながら彼の願いは聞き入れられない。だって私の血を舐めれば貴方は人に戻れると分かったのだから、諦められるわけがない。私の体で彼が戻るのなら、そんなの願ったり叶ったりだ。
今日はその後すぐにまた人の言葉を失ってしまったけれど、また血を舐めさせよう。諦めてはだめ。活路はある。