〇月〇日
また高熱が続き、ぐったりしていたので思い切って服を脱がせた。すると服の下からは、私の知らない傷がたくさん見つかった。どう見ても鞭を打ったあとが無数にあって、私の知らない間に何者かがリンクを虐待していたようだ。
でも彼はそれをやったのが誰なのかはもちろん言えないし、鞭を打った痕跡だけでは何の証拠にもならない。
本当は柔らかい布地の服に替えて傷に触らないようにしてあげたかったけれど、私の目を盗んで彼に手を出す者がいると分かった以上、柔らかな服を着せるのは悪手でしかないと判断した。インパに申し訳ないが、彼の体に合った近衛の服をもう一揃え手配してほしいと願いする。
ぼろぼろになった近衛の服は辛うじて布の残骸だと分かる程度になっていたが、確かに彼の体を守っていたものだから。きっと同じものが良いだろうと思って。
本来はオーダーメードであるはずの近衛の服を、すぐさまインパはどこからともなく持ってきてくれた。新しい物を着せていると、インパは古い方は捨てましょうと言う。
でも何かあったときにまた必要になるかもしれないことを考えると、むやみに捨てることはできなかった。洗って隠し持っておきたい。……何かあったときって、何なのか分からないけれど。
それで血と汗がしみ込んで硬くなってしまった生地を、水を張った桶に沈めた。柔らかくなって汚れが落ちるようにとしばらく漬け置く。でもいつまで経っても、布地からしみだす赤い色は薄まらなかった。