〇月〇日
ある日、癒しを終えたミファーに呼ばれた。大事な話があると言われて、人払いまで求められ、そして切り出されたのは、治療をこれ以上はできないということだった。
思わず私はミファーに怒鳴りつけてしまった。
だって彼女がリンクを見捨てたら、もう彼は死んでしまう。そんなひどいことをするような人だとは思わなかった。私が散々罵っても、でも不思議とミファーただ黙していた。
帰り際、ミファーが最後の挨拶をしていくと言うので戸口の外で待っていた。
その時に彼女の独り言が聞こえた。
「ごめんなさい、リンクのお願いは姫様には届かなかった」「姫様は諦めてないよ」
独り言。本当に独り言だろうか?
もしや言葉にならないリンクの願いをミファーは聞き取れたのではないだろうか。癒しの力を持つ彼女なら、人ならざる者の声を解することもできるかもしれない。
でもだとしたら、リンクの願いとはなんだろう。
彼女の独り言と、治療を止めたこと、それらを考えれば自然と答えは導き出せる。でも私は彼のいまの願いが何なのか、怖くて考えることを止めてしまった。