お食事の時間 - 1/4

 青年は行きつけのバーで、見知らぬ若い女を見つけた。見知らぬ女と言うのはどこにでも転がっているのだが、その女と言うのが格別に美しかったので特に目に入ったのだ。空のワイングラスを片手に持って、誰かを探しているようにあたりを見回している。彼女が周囲を見渡すたびに黒いショートヘアがサラサラと動いた。

 青年はその女に声をかけようとしたが、それよりも一瞬早く他の男が声をかけた。青年が内心でチッと舌打ちをする。女が破顔したのを見て、青年は一層げんなりして店員にブラッディーマリーを頼んだ。